パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社様
建設業顧客データベースの開発を支援


~MuleSoftを活用し、API連携により開発~
Introduction
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社は、電気設備の分野で住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設など社会を構成するあらゆる“くらしの空間”で事業を展開しています。
現在注力している施策の1つとして、顧客接点の強化を通じた「顧客LTV(生涯価値)の最大化」に取り組んでいます。しかし、顧客LTVの最大化を推進する中で、グループ内で顧客情報が分散しており、営業活動が非効率な点が課題となっていました。この課題を解決するため、グループ内の顧客情報を一元管理する「建設業顧客データベース(Construction Customer Database、以下CCD)」を開発することとなりました。
開発の背景やポイントについてインタビューを行いました。
インタビュー実施:2025年3月
お話を伺った方

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
マーケティング本部
ビジネスアーキテクトセンター システム開発グループ 課長
田原 永典様(写真左)
DXセンター マーケティングDX部デジタルプラットフォーム課
涌嶋 洋和様(写真右)
プロジェクトの背景・課題について
パナソニック エレクトリックワークス社(以下当社)のマーケティング本部は、主に建設業界における受注提案活動を担っています。
直接の取引先は代理店ですが、その先にはゼネコン、サブコン、ディベロッパー、設計事務所、中小規模の電気工事会社など多くのステークホルダーが存在します。当社は工事や完成後のメンテナンスに至るまで、さまざまなステークホルダーと連携しながら価値提供を実現することが求められます。
現在注力している施策の1つとして、顧客接点の強化を通じた「顧客LTVの最大化」に取り組んでいます。しかし、グループ内の顧客情報が一元管理されておらず、情報共有が不十分となっており、異なる部署やグループ会社が同じ顧客に対して個別に営業活動を行う状況が生じていました。
また、工事会社は複数の代理店を利用し、商材の取引を行うことが一般的なため、同じ案件に複数の当社営業が関与し、気が付かないうちにグループ内で受注を奪い合い、安値競争が起こることもありました。
こうした課題を解決するため、グループ内での情報共有の強化が不可欠と考え、グループ共通の顧客データベースを開発することとしました。

「建設業顧客データベース(Construction Customer Database)」について

CCDは、グループ共通の顧客データベースです。グループ各社のCRMはSalesforceが導入されており、顧客情報が各社ごとに管理されていましたが、これらの顧客情報をAPIによるデータ連携で一元管理する仕様となっています。API連携基盤としてMuleSoftを活用しています。
MuleSoft、フレクトを選んだ理由
〜MuleSoftを選択した理由〜
データ連携のツールはさまざまな選択肢がありますが、2つの理由からMuleSoftを採用しました。
1つ目の理由は、APIを階層に分けて、システム連携を迅速に開発できる点です。今後のモダナイゼーションを見据えると、基幹システムのデータを疎結合し、効率的に再利用できる環境の構築が求められます。また、クラウド間の連携が加速する中で、APIを通じてどのシステムからでもデータを取得・更新できる環境の整備は、ビジネスを機動的に展開する上で不可欠と考えています。
2つ目の理由は、Salesforceとの連携が容易である点です。すでにグループ会社各社でSalesforceを導入していたこと、また、CCDのCRMもSalesforceで開発することを検討していたことから、MuleSoftであれば迅速な開発が可能と考えました。

〜フレクト選定のポイント〜
今回のプロジェクトでは、4社にRFI(情報提供依頼書)を提出し、そのうち2社からRFP(提案依頼書)の回答を受け取りました。当社にとってMuleSoftの導入は初めてで、システムの理解を深めることが重要でした。そのため、MuleSoftに関する豊富な実績や深い知見を有していた、フレクトにMuleSoftによる開発を依頼することとしました。
プロジェクト自体はフェーズ1からフェーズ4までの全体構成になっており、今回のRFPはフェーズ1とフェーズ2に限定していました。しかし、フレクトは「フェーズ3と4は不要」と伝えていたにもかかわらず、能動的にフェーズ3と4まで見据えた提案をしてくれた点や、Salesforceに関する知見が深いところも高く評価しました。
実際にプロジェクトが始まってからも、フレクトの技術力の高さを実感しました。
システム開発では、不具合の発生を完全に防ぐことは難しいものの、フレクトは発生時の原因調査・分析を迅速に行い、本番稼働後も影響を最小限に抑える形で改善を進めてくれました。特に、対応力の高さを非常に評価しており、課題特定と問題提起のプロセスが的確だと感じています。また、常に先を見据えた動きをしてくれることも非常に安心感がありました。
導入後の効果
CCDの開発により、数十万社の取引先情報、案件情報が一元管理できるようになり、グループ各社の営業活動や案件情報がリアルタイムで検索可能となりました。これにより、現場調査・提案・受注までのスピードが向上し、営業効率の大幅な改善につながっています。
また、グループ各社の情報が可視化されたことで、物販で利益が見込めない案件は見送られることがありましたが、工事やメンテナンスで利益を確保できる案件であれば獲得していくなど、合理的な判断が可能となりました。従来は取りに行かなかった案件も新たなビジネスチャンスとして捉えられるようになったことは大きな成果と感じています。
APIのコール数(データの参照数)は、順調に増加しており、グループ内の情報連携は活発になっています。

プロジェクトの成功要因
今回のプロジェクトの成功の要因のひとつは、経営層からのトップダウンではなく、現場の納得感を重視しながら現場主導のボトムアップで進めたことだと考えています。
また、グループ各社との関係性においては、親会社からの押し付けにならないよう意識して進めました。現場での経験があったため、業務負荷を減らすためにもこの方法が最適ではないか、と継続的に提案し、理解を得ながら進めることを大切にしました。
さらに、グループ各社間の協力体制が強固だったことも成功の大きな要因です。担当者同士が導入当初から密にやり取りし、一緒に考えながら進めたことで、意見のすり合わせがスムーズでした。日頃のコミュニケーションや信頼関係の積み重ねが、プロジェクト成功の鍵だったと改めて感じています。

今後の展望、フレクトへの期待
グループ内連携の範囲を拡大し、継続的に強化していきます。今後、基幹システムとのさらなる連携も求められてきますが、MuleSoftを活用したAPI連携が重要な鍵となると考えています。
また、先般、Salesforceが新たに提供を開始した自律型のAIエージェント「Agentforce」の活用においても、データ連携は重要であり、MuleSoftによるシステム連携は不可欠です。「MuleSoftといえばフレクト」と言われるほどに豊富な実績と技術的な知見があるので、それを活かして、大手ベンダーに取って代わる存在になっていただくことを期待しています。


<インタビュー>
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
田原 永典様、涌嶋 洋和様
株式会社フレクト
クラウドインテグレーション事業部 田林 成介、石橋 京介、長谷川 修平



